グラウンドあり・なしでテストしたPIFAアンテナの違いとは?
アンテナの試験方法における問題の中で、特に重要でありながら、事前に気づきにくいものがあります。
その前に、LYNwaveの基本的なアンテナ設計プロセスをご紹介します:
このプロセスが示すように、LYNwaveはシミュレーションソフトやETS、OTA Satimoチャンバーシステムなどの試験装置を駆使し、世界中のクライアント向けに最適化されたアンテナを設計しています。S11、S21、ゲイン、効率、放射パターンなどのアンテナ仕様を評価し、アンテナ性能を最大化。量産前にすべてのクライアントの期待を満たすことを保証し、試験中の問題も解決します。
すべてのアンテナ試験中に発生する問題の解決
埋め込み型アンテナの問題例として、どんな種類の統合アンテナでも環境の影響を受けやすいことが挙げられます。
例えば、ダイポールアンテナやPIFAがデバイス内の金属部分に非常に近い場合、放射パターンや共振周波数が影響を受けます。この場合、放射パターンのシフトや周波数のズレが生じます。その結果、内部アンテナの性能に影響が出て、プロジェクトに支障をきたします。
さらに、非常に重要だが見落とされがちな問題があります。
統合アンテナは環境の影響を受けやすいことは皆さんご存知でしょう。そして特にPIFAアンテナでは、デバイス本体の有無(グラウンドの有無)で大きな違いが生じます。
デバイスが稼働中は、統合アンテナは内部にあります。したがって、アンテナ試験時もプリント基板に取り付けられたグラウンドが必要で、S11の正確な測定と最大ゲインを得るためには、デバイスが実際にある状態での試験が必要です。つまり、アンテナ単体を自由空間で試験し、筐体もグラウンドもない状態では、正確なS11と最大ゲインは得られません。
以下は、2.4GHz帯統合アンテナのグラウンドあり・なしのテスト例です:
アンテナ単体試験(グラウンドなし) |
デバイス内試験(グラウンドあり) |
|
|
帯域外 |
帯域内 |
S11 -10dB未満ではない |
S11 -10dB以下 |
正常動作しない |
正常動作する |
左の図は、アンテナ単体(グラウンドなし)で試験したPIFAアンテナです。
右の図は、デバイス内(グラウンドあり)で試験したPIFAアンテナです。
左図のように、デバイス本体なしでアンテナ単体を試験した場合、S11は-10dB以下にならず、帯域外で動作してしまいます。正常に動作せず、最大ゲインも得られません。一方、右図ではデバイス内試験でS11は-10dB以下となり、帯域内で動作し、正常に機能します。
結論として、PIFAアンテナはグラウンドあり・なしで試験した場合、大きな差異が生じます。
詳細なアンテナ試験や、アンテナ設計/熱設計/屋外筐体設計のカスタムソリューションにご興味がある方は、ぜひお問い合わせください。
迅速かつ最適なサービスを提供し、信頼できるビジネスパートナーとしてお手伝いさせていただきます。